介護にまつわるお金

【親の介護】介護と介護にかかるお金の支援制度5選【生活相談】

困った

 

「入院前まで元気だったのに…」
「最近おかしい、もしかして認知症なのかな」

高齢になってから骨折などで入院し、今まで通りの日常生活ができなくなってしまった親の介護が突然、必要になるかもしれません。他にも、認知症を疑って受診し、認知症の診断を受けるということもあるかもしれません。

しかも、親にも家族にもお金に余裕がなく、これからが不安になったり、どうすれば良いのかどこに相談すれば良いのかと悩むこと?

介護には、身体的な負担だけでなく、経済的な負担も大きくのしかかります。
「一体どれくらいの費用がかかるんだろう?」
「少しでも負担を減らせる方法はないのかな?」
と、不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、そんな悩みを抱えるあなたに向けて、親の介護が必要になったときに頼るべき相談窓口一般的な介護サービスの料金相場、そして介護にかかるお金の負担を軽減する、利用できるか確認必須な支援制度を厳選して5つご紹介します。

高齢者の方を専門に、病院と入所施設で約8年間、社会福祉士・介護支援専門員として数々の相談を受けてきた筆者が解説します。

①介護が必要と感じた時に頼るべき身近な相談窓口3つ

 

介護

「もしかして、親の介護が必要になるかもしれない…」

そう感じ始めた時、あるいは、すでに介護が始まって困っている時、一体誰に相談すれば良いのでしょうか?初めての経験で、右も左も分からないという方も少なくありません。

ここでは、そんな状況に陥った際に、最初に頼るべき3つの窓口を分かりやすく解説します。適切な場所に相談することで、抱えている不安や疑問が解消され、スムーズに介護への第一歩を踏み出せるはずです。

1.地域包括支援センター

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、高齢者の方が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、様々な支援を行っている地域の相談窓口です。各市町村に設置されており、介護に関する相談はもちろん、医療、福祉、生活支援など、幅広い相談も可能です。

地域包括支援センターで相談できること

  • 介護保険制度に関する情報や利用方法
  • 介護サービスの種類や内容、利用方法
  • 医療機関福祉サービスに関する情報
  • 生活支援サービス(配食、見守りなど)に関する情報
  • 認知症に関する相談
  • 高齢者の虐待権利擁護に関する相談
  • 成年後見制度に関する情報
  • その他、高齢者の生活に関する様々な相談

こんな時に相談してみましょう

  • 親の身体や認知機能の衰えが気になり始めた
  • 介護保険の申請方法が分からない
  • どんな介護サービスを利用できるか知りたい
  • 退院後の生活について不安がある
  • 認知症の親の対応に困っている
  • 地域の介護に関する情報を集めたい

お住まいの地域の地域包括支援センターの連絡先は、お住まいの市町村のウェブサイト高齢福祉課の窓口で確認できます。電話や窓口で気軽に相談することができます。

2.市町村役場の高齢福祉課(介護保険課)

介護保険課の職員
市町村の高齢福祉課
(または介護保険課)は、介護保険制度の運営を行っている 市町村役場の窓口です。介護保険の申請や各種手続きなど、制度の利用に関する相談や申請を受け付けています。

高齢福祉課(介護保険課)で相談・手続きできること

  • 介護保険の申請(要介護認定・要支援認定)
  • 介護保険に関する各種相談(給付内容、自己負担額など)
  • 介護保険サービスの事業者に関する情報
  • 高額介護サービス費特定入所者介護サービス費などの申請
  • その他、介護保険制度に関する手続き全般

こんな時に相談してみましょう

  • 介護保険の申請をしたい
  • 介護保険の制度内容について詳しく知りたい
  • 介護サービスの利用料金について質問したい
  • 高額な介護費用について相談したい

高齢福祉課(介護保険課)は、市町村役場の本庁舎支所に設置されています。窓口に直接行くか、電話で問い合わせることができます。

3.かかりつけ医

かかりつけ医

「なんか最近、おかしいかも‥」と思うようになったら、かかりつけ医に相談することも重要です。入院していて退院後の生活が不安なら、入院時に医師やソーシャルワーカーに相談しましょう。
もし、介護保険を使って介護を受けたい場合は、かかりつけ医の意見書をもらい介護認定を受けることになります。医療の側面から、病状に応じた介護の必要性の有無や注意点、利用できる医療サービスなどについてアドバイスを受けることができます。

かかりつけ医に相談できること

  • 病状と介護の必要性についての医学的な意見がもらえる
  • 必要に応じて、適切な医療機関や専門家への紹介

こんな時に相談してみましょう

  • 親の病状が悪化し、介護が必要になってきた
  • 退院後の療養や介護について相談したい
  • 医療的なケアが必要な介護サービスについて知りたい

かかりつけ医は、日頃から親御さんの健康状態を把握しているため、医療的な側面から的確なアドバイスが期待できます。

まずは、身近な窓口に相談してみましょう

介護が必要になった時、一人で悩まずに、まずは上記のいずれかの窓口に相談することが大切です。それぞれの窓口が持つ専門性を活かし、あなたの状況に合った情報やサポートを提供してくれるはずです。

②介護サービスの料金相場を理解しよう

 

お金

「介護が必要になったら、一体どれくらいの費用がかかるんだろう…?」

介護費用の不安は、多くの方が抱える共通の悩みです。介護保険制度があるとはいえ、自己負担額や保険適用外のサービスなど、費用が発生する場面は少なくありません。

ここでは、代表的な介護サービスと料金相場を分かりやすく解説します。
「在宅介護」「施設介護」それぞれのサービスについて、費用の目安を知っておくことで、どれを選択していくかの参考にしてみてください。

  • ここで示す料金はあくまで目安であり、地域や事業所、利用者の状況によって大きく変動する場合があります。
  • 介護保険サービスには自己負担割合(原則1割、所得に応じて2割または3割)があります。
  • 以下の料金には、食費、居住費、日常生活費などが別途かかる場合があります。
  • 最新の正確な料金については、必ず各事業所や自治体の窓口にお問い合わせください。

在宅介護サービスの料金相場

訪問リハビリ

住み慣れた自宅で生活しながら利用できる在宅介護サービスは、種類も多岐にわたります。ここでは、代表的なサービスの料金相場を見ていきましょう。

1.訪問介護(ホームヘルプ)

ホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介護(入浴、排泄、食事の介助など)や生活援助(調理、洗濯、掃除など)を提供するサービスです。

  • 身体介護: 30分あたり 約500円~1,000円(時間や内容によって変動)
  • 生活援助: 30分あたり 約400円~800円(時間や内容によって変動)

例: 週に2回、1時間ずつの身体介護を利用した場合、自己負担1割の方で月額約4,000円~8,000円程度が目安となります。

2.訪問入浴

看護師や介護職員が自宅を訪問し、入浴を介助するサービスです。

  • 1回あたり 約1,200円~2,000円 程度

例: 週に1回利用した場合、自己負担1割の方で月額約4,800円~8,000円程度が目安となります。

3.訪問看護

看護師が自宅を訪問し、医療的なケア(バイタルチェック、服薬管理、創傷処置など)を提供するサービスです。

  • 1回あたり 約800円~2,000円 程度(訪問時間や医療処置の内容によって変動)

例: 週に1回利用した場合、自己負担1割の方で月額約3,200円~8,000円程度が目安となります。

4.通所介護(デイサービス)

日帰りで施設に通い、食事、入浴、レクリエーション、機能訓練などのサービスを受けることができます。

  • 1回あたり 約500円~1,500円 程度(利用時間やサービス内容によって変動)

例: 週に2回利用した場合、自己負担1割の方で月額約4,000円~12,000円程度が目安となります。

5.通所リハビリテーション(デイケア)

医療機関や介護老人保健施設などに日帰りで通い、リハビリテーションを中心としたサービスを受けることができます。

  • 1回あたり 約600円~2,000円 程度(利用時間やリハビリの内容によって変動)

例: 週に2回利用した場合、自己負担1割の方で月額約4,800円~16,000円程度が目安となります。

施設介護サービスの料金相場

施設訪問

施設に入所して利用する介護サービスは、施設の種類によって費用が大きく異なります。

1.介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

要介護度3以上の方が入所できる施設で、生活全般の介護や機能訓練などを受けられます。比較的費用が抑えられる傾向にありますが、入所待ちの期間が長い場合があります。

  • 月額費用(目安): 約8万円~15万円程度(居住費、食費、介護保険の自己負担額を含む)

2.介護老人保健施設(老健)

在宅復帰を目指す方が、リハビリテーションや医療ケアを中心としたサービスを受ける施設です。一定期間の入所が原則となります。

  • 月額費用(目安): 約10万円~20万円程度(居住費、食費、介護保険の自己負担額を含む)

3.介護医療院

長期的な医療ケアと介護が必要な方が入所する施設です。医療機関が運営しているため、 透析やインスリン注射、経管栄養が必要ななどの医療ケアが充実しています。

  • 月額費用(目安): 約12万円~25万円程度(居住費、食費、介護保険の自己負担額を含む)

4.認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症の方が入居し、少人数で共同生活を送る施設です。家庭的な雰囲気の中で、認知症の進行を穏やかにするケアが行われます。

  • 月額費用(目安): 約15万円~30万円程度(居住費、食費、介護保険の自己負担額を含む)

 

5.特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)

民間が運営する施設で、介護サービスだけでなく、生活支援やアクティビティなど、様々なサービスを提供しています。費用は施設の種類やサービス内容によって大きく異なります。

  • 月額費用(目安): 約15万円~50万円以上(居住費、食費、介護サービス費などを含む)

 

 

③料金が安くなる!利用できるか確認必須な制度5選

 

不安からの解放

「介護費用はできるだけ抑えたい…」

誰もがそう願うのではないでしょうか。介護保険制度があるとはいえ、自己負担額は発生しますし、長期間にわたる介護となると、経済的な負担は決して小さくありません。

しかし、ご安心ください。介護費用の負担を軽減するために、国や自治体には様々な支援制度が存在します。これらの制度を知っているか知らないかで、支払う金額に大きな差が出ることもあります。

ここでは、介護費用が安くなる可能性のある、利用できるか必ず確認しておきたい重要な制度を厳選して5つご紹介します。これらの制度を理解し、ご自身の状況に合わせて活用することで、経済的な負担を軽減し、安心して介護サービスを利用できる可能性が広がります。

1.高額介護サービス費制度
自己負担額の上限を超えた分が払い戻される

高額介護介護保険サービスを利用した際の自己負担額には、所得に応じて上限が定められています。高額介護サービス費制度は、1ヶ月の自己負担額が上限を超えた場合、申請することで超えた金額が払い戻される制度です。

制度のポイント

  • 所得に応じて自己負担の上限額が異なる(複数段階に分かれています)。
  • 世帯で合算できる場合がある(同じ世帯内に複数の介護保険サービス利用者がいる場合など)。
  • 払い戻しを受けるためには申請が必要です。

 

こんな時に確認・申請しましょう

  • 1ヶ月の介護保険サービス利用料が高額になった
  • 同じ世帯で複数人が介護保険サービスを利用している

 

お住まいの市町村の介護保険課に申請方法や上限額について確認しましょう。

2.高額医療・高額介護合算療養費制度
医療費と介護費の合計額が上限を超えた場合に払い戻される

介護費と医療費

高額医療・高額介護合算療養費制度は、1年間の医療保険と介護保険の自己負担額の合計額が、所得に応じた上限を超えた場合に、申請することで超えた金額が払い戻される制度です。

制度のポイント

  • 医療費と介護費を合算して計算します。
  • 所得に応じて年間上限額が異なる(医療保険と介護保険でそれぞれ上限額が定められています)。
  • 申請期間や計算期間が定められています(毎年8月1日から翌年7月31日まで)。
  • 払い戻しを受けるためには申請が必要です。

 

こんな時に確認・申請しましょう

  • 1年間の医療費と介護費の合計額が高額になった
  • 医療保険と介護保険の両方を利用している

 

加入している医療保険の窓口お住まいの市町村の介護保険課に問い合わせ、申請手続きを行いましょう。

3%EC社会福祉法人等による利用者負担軽減制度
低所得者の介護サービス利用料が軽減される

介護資金

社会福祉法人等による利用者負担軽減制度は、所得の低い方が社会福祉法人が提供する介護保険サービスを利用する際に、自己負担額が軽減される制度です。

制度のポイント

  • 対象となるのは、生活保護受給者や低所得者など、一定の要件を満たす方です。
  • 軽減されるのは、介護保険サービスの自己負担額、食費、居住費、滞在費などです。
  • 利用できるサービスや軽減割合は、法人や自治体によって異なる場合があります
  • 申請が必要です。

 

こんな時に確認・申請しましょう

  • 生活保護を受けている、または所得が低い
  • 社会福祉法人が運営する介護サービスを利用したい

 

利用したい社会福祉法人お住まいの市町村の介護保険課に相談してみましょう。

4.生活福祉資金貸付制度(介護扶助)
低所得世帯への貸付制度

金欠

生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯、高齢者世帯、障害者世帯に対し、生活の安定と経済的自立を図ることを目的とした貸付制度です。

制度のポイント

  • 低所得世帯が対象です。
  • 無利子または低金利で借り入れができます。
  • 借りられる金額には上限があります
  • 償還(返済)が必要です。

 

こんな時に検討してみましょう

  • 介護に必要な費用が一時的に不足している
  • 他の制度の利用が難しい

借りる場合は、お住まいの市町村の社会福祉協議会に相談してみましょう。

介護に必要なお金の借り入れは、ほんの一時的に足りない場合だけにしましょう。介護負担はできるだけ年金や制度利用を検討し、足りない分は家族が負担を感じない程度の金額で収めることが大切です。

5.介護保険限度額適用認定証の申請
入居施設を利用の際に食事代や居住費が始めから減額される

施設の食事

介護保険サービスを利用時に食費と居住費の自己負担額が介護保険限度額認定証の金額までしか、負担しなくてもよくなります。

制度のポイント

  • 所得に応じて自己負担限度額が設定されます。
  • 認定証を提示することで、最初から自己負担限度額までの支払いで済むようになります。
  • 申請が必要です。

こんな時に検討しましょう

  • 特別養護老人ホームや老人保健施設などの入所施設を利用する予定がある(ショートステイ含む)
  • 収入が少ないが、入所施設の入所や利用を考えている

 

申請窓口は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口になります。申請方法や必要書類については、各市区町村によって異なる場合がありますので、事前に確認することをおすすめします。

おまけ:自治体独自の助成制度
お住まいの地域で独自の支援がある場合も

助成がある

国や介護保険制度以外にも、各自治体(都道府県や市町村)が独自に介護費用の助成制度を設けている場合があります。これらの制度は、対象となる方や助成内容が自治体によって異なります。

制度の例

  • 紙おむつ代の助成
  • 緊急時のための短期入所費用助成
  • 家族介護者への慰労金支給
  • 住宅改修費の助成拡充

 

こんな時に確認してみましょう

  • お住まいの地域で独自の介護に関する支援制度がないか知りたい。

 

お住まいの市町村の高齢福祉課社会福祉協議会のウェブサイトを確認したり、窓口に直接問い合わせてみましょう。

知っていると安心!まずは相談してみましょう。

これらの制度は、申請しなければ利用できないものもあります。「自分には関係ないだろう」と諦めずに、まずはそれぞれの窓口にとりあえず相談してみることをお勧めします。専門家のアドバイスを受けながら、利用できる制度がないか確認してみましょう。

これらの制度を活用することで、介護費用の負担を軽減し、より安心して介護生活を送ることができるはずです。

親の介護、そのお金の情報まとめ

高齢になった親の介護が突然必要になった時、身体的な負担だけでなく、経済的な負担も大きな心配の種となります。この記事では、そんな不安を抱えるあなたに向けて、頼るべき相談窓口から、介護サービスの料金相場、そして経済的な負担を軽減するための重要な支援制度までをまとめました。

まず、介護が必要と感じたら、一人で悩まずに以下の窓口に相談しましょう。

  1. 地域包括支援センター: 地域の高齢者の総合相談窓口。介護保険だけでなく、医療や生活支援など幅広い情報提供や相談が可能です。
  2. 市町村役場の高齢福祉課(介護保険課): 介護保険の申請や制度に関する手続き、相談窓口です。
  3. かかりつけ医: 親の病状に応じた介護の必要性や、利用できる医療サービスについて医学的なアドバイスがもらえます。

次に、介護にはどのくらいの費用がかかるのか、代表的なサービスの料金相場を把握しておきましょう。 在宅介護と施設介護で費用は大きく異なり、利用するサービスや頻度によっても変動します。

そして、経済的な負担を軽減するために、以下の5つの支援制度は必ず確認しておきましょう。

  1. 高額介護サービス費制度: 月々の介護保険サービス利用料が上限を超えた場合に払い戻しを受けられます。
  2. 高額医療・高額介護合算療養費制度: 年間の医療費と介護費の合計額が上限を超えた場合に払い戻しを受けられます。
  3. 社会福祉法人等による利用者負担軽減制度: 所得の低い方が社会福祉法人のサービスを利用する際に利用料が軽減されます。
  4. 生活福祉資金貸付制度(介護扶助): 低所得世帯が介護に必要な費用を無利子または低金利で借りられる場合があります。
  5. 介護保険限度額適用認定証の申請: 施設入所時の食費や居住費が、最初から自己負担限度額までの支払いになります。

さらに、お住まいの自治体によっては独自の助成制度がある場合もありますので、確認してみましょう。

「自分には関係ない」と思わずに、何かあればまずは専門の窓口に相談し、利用できる制度がないか確認することが、安心して介護生活を送るための第一歩です。

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高齢者の方を専門に、病院と入所施設で約8年間、社会福祉士・介護支援専門員として数々の相談を受けてきた筆者が解説します。